こんにちは、こんばんわ、circle Potionです
今回は少し趣向を変えて、漫画のレビュー。

『真剣に私に恋しなさい!』のコミカライズ版も素晴らしい、
犬江しんすけ先生の初18禁単行本『純嬢恋歌』。
2013年10月30日に発刊された作品ですが、
Amazonのレビューの数も多く、表紙の竜胆(りんどう)に恋した人も多かった様子。
ワニマガジン社さん発刊のコミックゼロス2号からの連載で、
僕自身も竜胆のキャラのかわいらしさに一撃でやられました。
(彼女と恋に落ちる宗方のキャラがまた良いのですが)

で、単行本化を待っていて、発売日に購入。
とらのあな限定で小冊子版として付いてきたデビュー作なども面白く、
連作、短編と、どれもお話がよくできているな…という印象でした。

*大正時代を思わせる3話構成の伝奇漫画「りんどう」
*没落した貴族の令嬢が、かつての使用人たちに奉仕する「籠の猛禽」
*設定・展開がどことなくコミカルでとにかくかわいい「土下座の花道」
*とある女学校を舞台とした背徳感あふれる「ノブレス☆オブリージュ」
*前・後編と分かれた「貴と忌の境界」
(コミック収録順とは異なります)

以上のお話が収録されているのですが、
個人的に「りんどう」はゼロス本誌で読んでいた点もあり、
Amazonでもレビュワーさんが感想を述べ合っているので、
ここではあえて置いておいて、
今回は、この中から「貴と忌の境界」を取り上げます。

僕が好みのお話だったから、というのもありますが…。

いじめられっ子で貧乏な家庭に育ったクズ美こと久住佳奈。
理事長の息子で富も名声も持ち合わせた王子様のような少年・天野。
この対象的な二人が、歪ともいえる形で交流するお話。

天野の取り巻きを中心とした陰湿なイジメ。
しかし、それに屈しない強いまなざしを持つクズ美。
ついには天野の指示でクズ美に性的なイジメを取り巻きたちが実行。
その後、取り巻きが天野に無断で集団強姦に及ぶ展開となるのですが、
この時、最初は嫌がったクズ美が天野の姿を捉えた瞬間、男たちを受け入れる。
それにはある理由があり、そのクズ美の心に天野の心が揺れる、
というお話。

いわば、堕ちるところまでいじめっ子を堕とそうとする王子のような少年が、
自分が汚されることで、彼自身が「汚れていること」を自覚させる展開は見事。
どちらが堕ちているかと言えば、いじめている側が堕ちていることは当然で、
それをクズ美なりの母性で受け止めるという姿に「キュン」とくるお話です。

タイトルにある「貴」はクズ美の天野に対する感情と天野の背景や立場。
「忌」は天野のクズ美に対する屈折した感情と行動。
貴き気持ちはどちらにあるのか、を最後までエロティックに描いています。
考えてみれば、久住佳奈のニックネーム「クズ美」も、
「美しいクズ」ということですし、「高貴な心はどちらにあるか?」
という視点・問いに立てば、
天野でなくともクズ美に心揺さぶられるモノがあるでしょう。
Hシーンは激しいレイプもあります。
王子様である天野の目の前で喜んで乱れるクズ美の姿もあります。
純真な汚れという話では、「りんどう」の穢れ落としの話につながる点もあり、
犬江先生は、母性のお話が好きなのかな…
それでいて、女性の気高さもきちんと捉えているな、と他の短編も含め、
考えちゃった作品でした。しっかり、クズ美のかわいさも堪能しましたよ(๑・ω・๑)

クズ美かわいすぎます(/ω\*)

ちなみに読み終えて、「似てるな」と思ったのは、
石原慎太郎の『完全なる遊戯』。
金持ちの倅4人組(だったかな)が知的障害を持った少女をレイプし、
堕ちるところを観察しよう、という「遊戯」に耽る話のはずなのですが、
純真で健気な少女は彼らの思うようにいかず、常にまっすぐ、
そして彼らにはない「天性の気丈さ」によって生き抜いていきます。
それに苛立つ男たちは、ついには彼女を…

という内容なのですが、ここでも「遊び」から「自分自身の姿」を見せられ、
その「忌まわしき姿」を取り払いたいともがく男たちの姿が描かれます。
偶然の一致かもしれませんし、当然、お話も展開もオチも違います。
アンハッピー(ある意味で解放なのでしょう)である『完全なる遊戯』と、
ある意味で完全なハッピーエンドともいえるクズ美の台詞と笑顔で終わる本作。
高貴であれ忌まわしき感情をとぐろのように巻いている人間を描いた点では、
よく似てるところがあるなァ、と思ってしまいました。

18禁コミックとしてレベルの高い一冊ですし、
犬江先生の画力も素晴らしいです。
お話の展開もどれもオチまでしっかり読み込ませてくれるものばかり。
ともあれ、クズ美がかわいくて、竜胆目的で買ったら、
クズ美に墜落した、という作品集でした。

拙いレビューで申し訳ありませんでした<(_ _)>
同人誌も集めてます(・ω- ) -☆

犬江しんすけ先生のサイト→ジンガイマキョウ